肩関節の治療について

仙台赤十字病院整形外科 肩関節グループ

 

1、腱板断裂に対する治療

 

腱板断裂はどんな病気?

 腱板断裂とは、肩甲骨と上腕骨をつないでいる腱板という板状の腱が切れてしまったものを言います
 (図の○印、矢印)
 50歳以降に好発します。転倒して手や肘をついたり、重いものを持ち上げようとしたり、肩を捻ったりなど、外傷を契機として発症する場合が多いようです。ただ、さしたる外傷がなく発症することもありますので、病院にかかっていても、“五十肩”として扱われている場合も多いようです。

 

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どんな症状?

 症状は、夜間痛、動作時痛とくに腕を上げるときや下ろすときの痛みや引っ掛かりが多いです。また、肘を脇から離しての動作がつらく力が入らないのも特徴です。

 

治療は?

 腱板が切れていても、時間経過と共に症状が軽快することが少なくなく、注射や理学療法などの保存療法の効果がかなり期待できます。ただし、活動性の高い人で、受傷後3ヶ月以上症状が続いている場合は、手術を要する可能性が高くなります。

 

手術方法は?

 当院では、手術が必要な場合は、ほとんどの症例に対し関節鏡視下手術を行っています。関節鏡視下腱板修復術(ARCR)と呼ばれる手術で、壊れた腱板を修復する方法です。すなわち、チタン性のスーチャーアンカーと呼ばれる糸つきの小さなビスを上腕骨に打ち込んで、その糸で壊れた腱板を上腕骨に固定します。
  ARCRは、関節を切開せずに小さな創を数箇所つくって行うため、正常な組織(特に三角筋)を視傷しないばかりか、修復も性格かつ強固にできるので、直視下手術に比べそのメリットは計り知れません。

 

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術後の後療法は?

 後療法は、術後4週間程度は外転枕という着脱可能な装具をつけます。個人差が大きいですが、術後の日常生活復帰は大体2ヶ月、3ヶ月で軽作業、6ヶ月で重労働可能となりますが、完治となるのは術後1年頃です。

 

2、反復性肩関節脱臼に対する治療

 

反復性肩関節脱臼とは?

 スポーツの中の外傷などを契機として肩関節の脱臼(初回脱臼)が起こり、脱臼が整復された後にも、数日・数ヶ月あるいは数年の経過を経て、軽微な外傷でも再脱臼してしまう状態のことを反復性肩関節脱臼と言います。ひどくなると日常生活や寝がえりでも外れてしまうことがあります。

 

何が原因で脱臼を繰り返すのか?

 再脱臼する原因として最もよく知られているものが、間接唇損傷で、バンカート病変(Bankart lesion)とも呼ばれます。関節唇とは肩甲骨関節窩(受け皿側)を縁取る、軟骨でできた土手のおようなものです。これが脱臼時にはがれるので、脱臼する道ができてしまい、脱臼を繰り返すと言われています。さらに、間接唇に連続する関節上腕靭帯という靭帯が。関節窩から剥がれたり伸びたりしてしまい、正常に機能しなくなります。中には関節窩自体が骨折を起こしてそのままになっているケースもあります。

 

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治療法は?

 従って、治療は手術にて壊れた関節窩の骨や靭帯を元に戻す必要があり、完治を望むのであれば手術以外に方法はありません。リハビリで周囲の筋肉を強化するなどとよく言われますが、多少の安定感は得られても、外力が加わったときにも外れない肩には決してなりません。ある程度高齢になると外れにくくなりますが、その後に外れると腱板断裂など新たな損傷を生じたり、将来的には変形性関節症になったりすることがあるので、やはり活動性の高い時期に手術できちんと治しておいたほうが良いでしょう。

 

手術方法とその後の回復は?

 当院では、ほとんどの症例に対し関節鏡視下に手術を行っています。関節鏡視下バンカート法(スーチャーアンカー法)と呼ばれる手術で、壊れた関節上腕靭帯や関節窩の骨を修復する方法です。すなわち、吸収性のスーチャーアンカーと呼ばれる糸つきの小さなビスを関節窩に打ち込んで、その糸で靭帯や壊れた骨を関節窩に固定します。
  創は5mm程度のものが3箇所できるだけで、手術翌日には退院も可能となり、数日後にはデスクワークなら就労・就学可能です。ただし、術後は着脱可能で衣服の上からつける装具で4週ほど患肢を固定します。個人差がありますが、術後1〜2ヶ月で日常生活には不自由がなくなり、3ヶ月で軽いスポーツ、6ヶ月で大抵のスポーツ復帰が可能となります。ただし、ハイレベルでのスポーツ活動で不自由を感じなくなるまでには、最低でも術後1年ぐらいを要します。

 

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