大腸疾患センター

当院消化器内科は、1990年台前半より、東北大学病院消化器内科 下部消化管グループと緊密な診療連携を築き上げ、大腸疾患の診断と治療を行ってまいりました。2001年1月に、当時の同グループのチーフである、樋渡信夫先生(元東北大学臨床教授、2022年 瑞宝中綬章を受章)が当院に赴任となり、それを機にさらなる大腸疾患診療の向上を目指すべく、大腸疾患センターが開設されました。初代の樋渡センター長から始まり、現在は大森が第3代センター長を拝命しております。開設から20年以上経過し、医療状況の変化に適応しつつ、現在も様々な取り組みを行っております。

当センターの特徴

大腸内視鏡時の鎮静

以前より、大腸が通常の方より長い、腹部手術後の癒着などの理由から、内視鏡挿入時に苦痛を訴える患者さんがおられましたが、当センターでは苦痛を軽減するための鎮静薬を導入しました。内視鏡検査直前に使用することで、苦痛を軽減/消失させることを努めております。患者さんからはおおむね好評であり、消化器内科での胃内視鏡でも使用されるようになり、多くの患者さんにとっての福音となっております。

大腸内視鏡による治療

当院では、当センター開設前より、多くの患者さんに大腸ポリープの切除術を行ってまいりました。通常は輪型の電気メス(スネア)でポリープを絞め付けて切除し得ます。しかし、平坦な病変や大きな病変に対しては、この通常法では病変を一括りでの切除が困難となり、不十分な診療となる可能性があります。当センターではそのような病変に対し、内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)を導入し、綺麗な病変切除/正確な術後病理診断が可能となっております。ESDは数ミリ単位の内視鏡操作が要求される手技ですが、すでに数百例の経験を有しております。消化器内科で胃病変の治療が困難な場合は、当センタースタッフが胃病変のESDも行っております。

小腸疾患の診療

小腸はかつて、口からも肛門からも遠い部位にあるため「暗黒大陸」と称されていました。昨今の医療の進歩に伴い、小腸の疾患も指摘されるようになっており、当センターにおいても、従来からの小腸X線検査はもちろんのこと、小腸カプセル内視鏡検査、小腸CT検査、ダブルバルーン小腸内視鏡検査などの最新検査を導入し、病院として全消化管の精査に対応し得るよう努めております。

炎症性腸疾患の診療

難治性慢性腸疾患とされる、潰瘍性大腸炎やクローン病などの疾患に対しても、各種検査による診断、腸管狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術などの治療を行っております。中心静脈栄養を要する患者さんに対しては、従来法の中心静脈カテーテル挿入ではなく、末梢挿入型のカテーテル(PICC)使用により、気胸などの合併症の回避/挿入時の患者さんの恐怖心の軽減に努めております。

臨床研究の発信

目の前の診療を行うのみで、現状維持で満足していては、医療の進歩は期待できません。最新の診療知見を日々取り込み続けることはもちろんのこと、当センターでは、よりよい診療を追及することを重視しており、症例検討・臨床研究を行い、全国各種学会で発表し、当センター発の新知見を発信し続けております。また、東北大学病院をはじめとする、他施設との多くの共同研究にも積極的に参加し、将来の患者さんの恩恵につながる取り組みを続けております。

今後とも、当センターは患者さんに寄り添える診療を目指します。

  • センター長
    • 大森 信弥(消化器内科副部長 兼務)
  • センター看護師
    • 阿部 三智子※
    • 須藤 麻紀子
    • 石渡 順子※
    • 大倉 真澄※
    • 相田 聡子※
    • 小野 佑
  • センター臨床工学士
    • 齋藤 雄亮
    • 菅原 さやか

(※ 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡技師)