病理診断科部 病理技術課

部門の概要

病理技術課には、組織診断部門と細胞診断部門があります。

組織診断部門は、患者さんから採取された組織から病理組織標本を作製後、悪性組織が含まれるか、含まれていればどの程度の進行状態にあるかを顕微鏡で調べて診断します。また、悪性組織が含まれない場合でも正常組織構造・形態との違いを調べ、様々な病気を診断します。

細胞診断部門は、患者さんから採取された細胞から細胞診断標本を作製し、悪性細胞が含まれているかを顕微鏡で調べて診断します。悪性細胞が無い場合でも細胞形態の特徴から様々な病気を診断しています。

病理診断科部は、内科や外科と同様に診療部門の一つで、病理診断専門医の資格を持った医師が診断しています。また、細胞診断も細胞診断専門医の資格を持った医師が診断しています。この病理診断標本や細胞診断標本の作製は臨床検査技師が行っており、細胞診断では、専門医が診断する前に細胞検査士の資格を持った者が異常細胞検出作業(スクリーニング)を行い、全く異常細胞が含まれない場合は、医師の診断無しで”正常”の診断を報告することもあります。

業務内容

組織診断部門

外科手術を行った時に摘出された臓器や、内視鏡検査を行った時に採取された組織などを光が透過するまで薄く加工し、様々な染色を行い(226種類の染色実施可能)、”組織標本”を作製します。これを顕微鏡で観察し、組織診断を行います。
令和4年実績では延べ2,046名の患者さんから組織が提出され、約17,499枚の組織標本を作製しました。殆どの組織標本は、”永久標本”とも言われ、何十年も形態、染色性が保持されます(染色の種類により長期間の保存ができないものがあります)

組織診断では、例えば癌と診断された患者さんが何年か後に再発することがあり、本当に再発か、否かを何年か前に作成した標本と比べることで診断する場合があります。この為、永久標本を作製し、保管しています。永久標本の作成・診断には時間を要します。診断に用いる組織の大きさや臓器の種類にもよりますが、内視鏡生検組織で数日、手術切除組織で1週間~1か月程度です。特殊な例では解剖の組織診断は数か月に及ぶこともあります。

細胞診断部門

患者さんから提出された細胞から腫瘍性病変の有無、悪性か否かの診断をしています。
令和4年実績で延べ3,106名の患者さんから細胞診検体の提出があり5,515枚の染色標本を作製しました。細胞診標本作成は、液体物(尿、痰、体腔液、嚢胞穿刺吸引物、各種洗浄液、など)が提出された場合、遠心分離して細胞を集め、顕微鏡観察の為に薄いガラス(スライドガラス)に塗抹後染色します。細胞採取対象が組織の場合、穿刺吸引での細胞採取や、直接擦過で細胞を採取し、スライドガラス塗抹、染色して細胞診標本を作製します。これを細胞検査士が顕微鏡で観察し、異常細胞を見つけ出します。それらを最終的に専門医が顕微鏡で観察して診断・報告します。細胞診標本も永久標本で、その作製・診断には時間を要します。しかし、組織標本作成より短く、1~数日です。