外科

診療科の特色

外科のスタッフは院長以下総勢6名です。全員が外科専門医で、消化器外科専門医または乳腺専門医です。消化器病専門医や大腸肛門病専門医、がん治療認定医などの資格を持ち、消化器や乳腺を中心に日々の外科診療を行っていますが、外傷や急性腹症などの救急にも対応します。また、当院は外科学会や消化器外科学会の研修指定病院となっており、若手外科医を育てる役割も担っています。

外来日は月~金曜日の毎日で、午前中だけでなく、午後も開いており、新患も随時受け付けています。また、月・金曜日の午後に乳腺、火曜日午後に肛門・便失禁の専門外来を開いています。

患者さんにとってできるだけ体の負担が少なく、手術後の障害も少ない手術を目指し、短期間の入院、早く社会復帰できるよう心がけています。鼠径ヘルニアや胆石症では受診当日や翌日、消化器癌や乳癌では1週間程度で検査を終了し、検査終了から概ね2週間以内に手術を行っています。鼠径ヘルニアや胆石症では、外来受診から1週間以内に手術を受けることも可能です。

当院は、かかりつけ医や関連施設と連携して治療を行っています。当科での治療が一段落した後は、お近くの診療所、かかりつけ医での治療、投薬を継続していただきます。継続的な通院が必要な患者さんは、かかりつけ医と同時に当科も定期的に受診していただきます。

胃がん

胃は食道から続く袋状の臓器で、食物を貯留して消化します。胃がんは内側の粘膜から発生し、進行すると大きくなり、周囲のリンパ節転移、腹膜などの遠隔転移をきたします。検診などで早期に発見されることもありますが、進行がんで発見されることも少なくありません。治療は胃がん治療ガイドラインに準じて患者さんと相談して決めておりますが、内視鏡(胃カメラ)治療に関しては消化器内科が担当しております。手術が必要な胃がんには開腹手術だけではなく腹腔鏡下手術もおこなっております。腹腔鏡下手術は腹部の小さい傷5~6か所で行う手術で、小さい傷から手術用のカメラ、手術器具を挿入して、カメラで映った画像を見ながら手術を行います。小さい傷でできるので術後疼痛が少なく、回復が早いというメリットがありますが、直接臓器を触われない、手術時間が長くなるなどのデメリットもありますので、患者さんと相談し、希望も取り入れながら治療方針を決めております。

大腸がん

現在、日本人に一番多いがんは大腸がんです(男性2位、女性3位)。大腸がんの診断には内視鏡(大腸カメラ)検査が必要ですが、準備など負担が大きいため、検診では便を調べます。便に含まれるわずかな血液を検出することで、内視鏡検査の必要な人を割り出します。便検査で精密検査が必要と判断されたら、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。精密検査不要となるまで、繰り返し便検査を受けても安心にはなりません。大腸がんも早期に発見出来れば、内視鏡治療が可能です。内視鏡治療が難しい場合は手術が必要ですが、多くは小さな傷の腹腔鏡下手術が可能です。肛門に近い大腸がん(直腸がん)の場合、以前は永久的な人工肛門(ストーマと言います)が造られていましたが、肛門を残して排便出来るように、手術法が工夫されてきました。

乳がん

乳がんは、女性では最も多いがんで、他のがんに比べて若い世代の方にも多いです。当院ではデジタルマンモグラフィーの他、エラストグラフィー(固さを判定できる機能)超音波検査、MRI検査を駆使して精密検査を行い、乳がんの早期発見を目指しています。治療については、乳房温存と術後障害の少ない手術を目指しています。当院は放射線同位元素を使用できる設備を備え、病理医も常勤しており、センチネルリンパ節に転移を認めない場合は、腋窩郭清の省略も可能です。妊孕性温存を希望される方には宮城県がん生殖医療ネットワークとの連携、遺伝カウンセリングを希望される方には遺伝カウンセリング外来への紹介も行っています。

(センチネルリンパ節ナビゲーション手術:センチネルリンパ節を摘出して転移がなければ、腋窩リンパ節郭清を省略し、術後障害の少ない手術を行うことができます)

ヘルニア

ヘルニアとは、体内の臓器などが、本来あるべき部位から「脱出・突出」した状態を指します。外科で診療の対象となるヘルニアには、鼡径ヘルニア、大腿ヘルニアや臍ヘルニア、そして手術の傷に発生する腹壁瘢痕ヘルニアなどがあります。これらのうち、最も多いのが鼡径ヘルニアで、一般に「脱腸」と呼ばれています。足の付け根が膨らんで、次第に大きくなって重苦しい感じを伴うようになります。生まれつきある腹壁の弱い部分や加齢により弱体化した部分に穴(ヘルニア門と言います)が生じて、長時間立っていたり、息んだり、咳をしたりすると腸などのお腹の内臓の一部が穴から飛び出します。仰向けになると飛び出したものがお腹の中に戻りますが、戻らなくなることもあり、その場合には急いで戻す必要があります。緊急手術が必要となることもあり、腸の切除まで要することもあります。手術は、人工膜(メッシュ)でヘルニア門を塞ぐ方法が一般的で、自然に治ることはありません。膨らみがはっきりしたヘルニアの診断は簡単ですが、小さなヘルニアでは診断が難しいこともあります。足の付け根に重苦しさを感じているようでしたら、ご相談ください。

急性虫垂炎

通称「モウチョウ」と呼ばれる虫垂炎ですが、非常にポピュラーな病気で多くの方が経験されているとおもいます。最初はみぞおちが痛くなり、次第に右下腹部に移って痛みが増強し、吐き気、嘔吐も伴います。抗生剤で良くなる場合もありますが、良くならない場合や重症の場合には手術が必要です。軽症であれば3~5日で退院可能となります。腹腔鏡下手術は早い時期に仕事や学業に復帰することが可能となります。

胆石症

消化液の一種である胆汁は、肝臓でつくられます。肝臓から胆管を通って十二指腸に流れますが、その途中に枝分かれした胆嚢があり、一旦ここに貯められるようになっています。胆石は、この胆汁の通り道である胆嚢や胆管、肝臓のなかにできる石で、炎症を起こすと右上腹部の痛みや発熱を伴うようになります。また、右側の背中や肩の痛みを伴うこともあります。このうち胆嚢に胆石が出来るケースが最も多く、腹腔鏡で胆嚢を摘出する手術が標準的な治療です。通常、数日間の短期入院で治療可能です。

肛門疾患

いぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、痔瘻を三大肛門疾患と呼びますが、その他に直腸脱、直腸粘膜脱が高齢化社会の到来とともに増えつつあります。症状は、出血、痛み、しこりの飛び出し、肛門や肛門の周りの腫れ、肛門周りからの膿の排出、排便困難などです。最も多い痔核に対しては、薬物療法(軟膏、坐薬、内服薬)を中心とした治療をまず行いますが、効果が不十分な場合や飛び出しに対しては、各種の手術治療が必要となります。出血の原因が大腸がんであったり、飛び出しているのが痔核ではなく直腸であったりしますが、診察や簡単な検査でほとんどが診断できます。我慢せずに来院されるようお願いします。

便失禁

便が気付かないうちに漏れてしまう、トイレに間に合わないなどの経験はありますか?実はそのような方は少なくありません。潜在的には国内に500万人もの方が該当するとの報告もあり、家族にも言えずに悩んでいる方は沢山おられます。これまで有効な治療法はありませんでしたが、現在、便失禁は治せる病気となりました。治療は、薬物治療、生活指導、骨盤底筋訓練、バイオフィードバック療法、仙骨神経刺激療法などがあります。特に仙骨神経刺激療法は、当院が東北初の治療施設で、東北各県から患者さんが見えられます。

仙骨神経刺激療法

仙骨は、骨盤の中央にある逆三角形の骨で尾てい骨の上にあります。仙骨には穴があって、この穴からリードを挿入し仙骨神経を電気刺激するのが仙骨神経刺激療法です。最初は電気刺激で少しピリピリしますが、すぐに慣れほとんど感じなくなります。外見上はほとんど分からず、普通に生活できるのが利点です。電圧の設定にもよりますが、電池の寿命のため、5年程度で交換が必要となります。最初は、発生させる刺激装置を体内に植め込まず、外からリードだけを通して2週間の試験刺激を行います。効果が確認されれば、お尻の上部を小さく切開し、マッチ箱程度の大きさの装置を植め込みます。

この治療法はヨーロッパでは1994年に認可されており、成功率が約80%とされています。国内の治験では、患者21人に実施したところ、半年で18人の治療に成功し、便失禁は全体平均で週15回から3回に減り、4人は完治しております。

外来薬物療法

がん治療では、再発予防や病気の進行を遅らせるために薬物療法(抗がん剤治療)を行うことがあります。当院では、外来通院で薬物療法が受けられるように「外来療法室」を設置し、がん化学療法認定看護師が常駐しております。吐き気、嘔吐、疲労感などの抗がん剤の副作用は、薬剤の使い方の工夫やさまざまなサポートにより、以前に比べるとかなり軽くなってきています。多くの方が仕事や家庭での日常生活を続けながら外来治療を続けており、入院する場合も数日間ですみます。抗がん剤によっては脱毛や皮膚の障害などの外見上の変化を伴う副作用がありますが、認定看護師が相談に応じます。

手術件数の推移

手術件数の推移
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
胃がん 12 11 7 8 12
大腸がん 49 36 42 60 57
乳がん 19 18 11 32 31
ヘルニア 112 76 75 82 70
虫垂炎 25 27 31 37 15
胆石症 81 68 83 91 54
肛門疾患 112 134 131 80 74
その他 95 99 56 84 54
505 469 436 474 367

スタッフ紹介

院長

  • 舟山 裕士ふなやま ゆうじ
  • 診療で大事にしていること誠心誠意

副院長・外科主任部長

  • 角川 陽一郎かくがわ よういちろう
  • 診療で大事にしていること最新の情報をもとに、患者さんによりそった診療を行うこと

部長

  • 佐藤 龍一郎さとう りゅういちろう
  • 所属医局東北大学 総合外科

副部長

  • 金子 直征かねこ なおゆき
  • 診療で大事にしていること患者さんの希望に沿った治療を行うこと

医師

  • 佐藤 純さとう じゅん
  • 診療で大事にしていること患者の希望に沿った診療を行うこと