院長あいさつ

私は、国分町で生まれました。というと驚かれる方が多いと思いますが、生粋の仙台生まれの仙台育ちです。幼い頃は当時だだっ広い広瀬通を自転車で西公園まで通ってよく遊びに行きました。八木山の吊り橋をわたって球場にもいきました。弟は五橋の仙台赤十字病院で生まれました。その弟とは竜の口渓谷を探検したものです。大学卒業後は、長町にあった宮城第2病院(現、JCHO仙台南病院)で医者の卵として初期研修をさせていただきました。そんなわけで八木山、長町を中心とする太白区には思い出が沢山詰まっています。

私の外科医としての専門は、大腸外科です。大学病院時代は難病の潰瘍性大腸炎やクローン病の手術を数多く手がけました。若い患者さんにとっては人生を決める手術ですので細心の注意が必要でした。その後、その技術を応用し大腸癌の世界に飛び込み肛門近くの直腸癌に対して「究極の肛門温存手術」といわれる括約筋間直腸切除術を確立し、人工肛門のない手術をめざしました。また、通常の施設では対処困難な難治性の直腸肛門疾患も手がけるようになり、排便障害に対する仙骨神経刺激療法では仙台赤十字病院が東北初の認定施設となり、東北各地から患者さんが訪れております。

当院のミッションは「人道博愛に基づいて医療を行い、全ての人の尊厳をまもる」の理念にもとづき、高度専門医療、地域医療、災害医療を遂行することです。この原則をはずすことなく当院は医療を継続して参ります。

当院の特徴は、従来からの伝統看板である総合周産期医療、宮城県有数の手術件数を誇る整形外科が挙げられますが、今後はさらにがん診療にも力を注いで行く所存です。そのために乳がん専門医を迎え、これまで行ってきた大腸癌をはじめとする消化器癌治療をさらに充実させていきたいと考えております。地域医療に貢献することは当院の最大の目標です。平成30年度(2018年度)より救急医療体制を改善し、平日日中の救急は90%以上対応できるようになりました。当院の地域包括ケア病棟は、急性期を乗り越えた患者さんや、在宅では治療困難な患者さんを他院からも受け入れ、90%以上の高い在宅復帰率を達成しております。東日本大震災以降も、多くの災害が日本を襲っています。2018年の北海道胆振東部地震や2019年の台風19号に被災した丸森町には、当院から数次にわけ救護班が派遣され、住民の支援、病院機能の移転、復旧に尽力いたしました。2022年3月には、福島県沖地震では当院でも地震の揺れで病棟建物や酸素タンクが破損し一部機能縮小を余儀なくされました。一方、八木山地区では、八木山防災連絡会とともに大規模災害防災訓練を定期的に行うとともに、高齢者の健康指導などの協力を行っております。最近になり、宮城県沖地震の再来の可能性が高いことが報じられております。常に準備を怠ることなく災害に備えて参ります。

院長